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21世紀型人材とは

20世紀の日本は、マニュアル通りに仕事を効率良くすすめることができる人材を集団的に育成し、工業中心に大量の時間と労力を投入することで経済成長を遂げてきました。しかし21世紀に入り、工業を基幹とする「工業社会」からIT産業を基幹とする「知識基盤型社会」へと移行すると、その方向性は限界に突き当たりました。実際、90年代、国民1人あたりのGDPが世界第3位だった日本は今や22位まで後退し、先進国最低レベルにまで落ち込んでいます。それでもまだ日本は人口の多さを支えに何とか先進国の地位を保持していますが、人口減少、少子高齢化が世界に類を見ないスピードで進むなか、日本の先行きには暗雲が立ち込めていると言わざるをえません。

この状況を何とかしていくためには、「今」の社会にあった能力の育成が急務です。現在の「知識基盤型社会」では、秀でた個の能力を発揮して高い付加価値を創造できる人材―たとえばマニュアルにただ従うだけでなく、それを創ることのできる人材、多様な個性を持つ人々と協働して困難な課題を解決できる人材―が求められています。個性を活かし、自らを高める努力を怠らず、社会貢献を通じて経済的自立を続けることができる人間的実力が国民一人ひとりに求められる、そんな時代がきているのです。

大切なのは二つの能力

こうした人間的実力は、二つの能力から成り立っていると言われています。一つは「認知能力」と呼ばれる、学力テストで計測できる能力です。偏差値などで数値化することができるため、今までの教育での評価は「認知能力」が中心でした。新しい大学入試で求められる学力の三要素のうち、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」の二つの要素がそれにあたります。これからの時代にはさらに高度な「認知能力」が要求されることは言うまでもありません。

しかし社会的成功には「認知能力」に加え、「生き抜く力」と言われる「非認知能力」が大きく影響していることが明らかになってきたのです。「非認知能力」には学力の三要素の最後の「主体性・多様性・協働性」に相当するもの、たとえば主体的に多様な人々として共働してイノベーションを実行する力、やり抜く力(GRIT)、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力など、気質や性格的特徴、本人をとりまく環境に依存するものが広範囲に含まれています。
これからの教育の使命はこの「二つの能力」に配慮しながら、双方をバランス良く高いレベルにまで育て上げることにあります。今や立場を問わず地域社会全体が協働して、日本の教育を変革し、レベルアップさせていかなければなりません。

受験は絶好の機会

一般的に受験は、志望校に合格するのに必要な学力、つまり認知能力を身につけるためだけの機会と誤解されがちです。しかし、受験はこれまでも、そしてこれからも、非認知能力を育むうえでも絶好の機会だと、私はこれまでの指導経験から確信しています。なぜなら受験は、高い認知能力を身につけていく過程で、やり抜く力(GRIT)をはじめとして、志を持って主体的に取り組む姿勢や意欲、テスト本番で自分の力を出し切る精神力など、高い非認知能力も必然的に鍛錬されていくものだからです。たとえばスポーツで言われる「心」「技」「体」で言うと、トップアスリートたちは高い目標を達成するために、血のにじむような「体」と「技」の鍛錬を続ける過程で「心」も研鑽しています。受験も同様です。受験こそ、頭脳と心をともに鍛錬できる、子供の成長を促す最高の機会なのです。だから、志望校合格に向けて一所懸命努力することは、いつの時代でも価値があるのです。 そして、人間の成長を促す最も効果的な環境は、正の同僚効果(ピア・エフェクト)が発揮される、つまり互いに良い影響を及ぼしあえる、優れた仲間が集まっている中にある、と言われています。 こういう時代だからこそ、人間的実力を育める多彩な機会を創造し、共に切磋琢磨できる優れた環境の中で子供たちを育てることが教育の原点であると、私は確信します。

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